1. 一般会計(約110兆円)の背後に存在する「特別会計(グロス約400兆円超)」の財政構造
日本の国家予算に関する報道や政策議論の多くは、約112〜114兆円規模の「一般会計」のみを対象としています。しかし、財務省「特別会計ガイドブック」および決算統計が示す通り、日本には特定の事業や資金運用を行うための「特別会計(現在13会計)」が存在し、その歳出総額(グロス)は約400〜440兆円規模、会計間の重複繰入を控除した純計ベースでも約200兆円超と、一般会計の約2倍の財政規模を有しています。
一般会計の歳出の過半は、地方交付税交付金や国債整理基金特別会計、年金特別会計など「特別会計等への繰入(資金移転)」によって占められています。したがって、一般会計の単年度収支だけを切り取って「財源不足」を論じることは、企業会計において本社の一般管理費部門だけを見てグループ連結全体のキャッシュフローや保有資産を無視するのに等しい構造的偏りを生じさせます。
2. 外国為替資金特別会計(外為特会)と年金積立金(GPIF)における運用益・剰余金の検証
特に注目すべきは、外国為替資金特別会計(外為特会)および年金特別会計(GPIF等の積立金約250兆円超)が保有する巨額の金融資産と運用収益です。外為特会は1.2兆ドルを超える外貨準備(主に米国債等)を保有しており、近年の米金利上昇と円安進行に伴って年間数兆円規模の利子収入(運用益)と巨額の円換算評価益が発生しています。
国家財政の健全性と政策余力を正確に評価するためには、一般会計と特別会計を合算した「連結バランスシート(資産・負債の総合評価)」および各特別会計の積立金・剰余金の発生状況を透明化し、硬直化した予算配分を国民の可処分所得向上や成長分野への投資へと機動的に再配分するガバナンス改革が不可欠です。